経口避妊薬(ピル)

経口避妊薬とは

1. 経口避妊薬とは

経口避妊薬を利用することで、予期せぬ妊娠を防ぐことが可能となります。

経口避妊薬には日頃から服用することで避妊する低容量ピルと、性行為の後に服用する緊急避妊薬(アフターピル)の2種類があります。

低容量ピルは性感染症を防ぐ治療薬ではないので、安心できる特定のパートナーがいる人向きの避妊方法です。

2. 低用量ピル

日本で多く取り扱われているのは低容量ピルです。

毎日欠かさず飲み続けることで効果を発揮し、服用を停止すると効果も停止します。飲み忘れのないように、欠かさず飲む避妊薬です。

一昔前であれば、月経周期を避妊の目安としてましたが、月経周期には個人差があり、100%ではない避妊方法でした。

女性の初潮から閉経までの期間は平均で約35年〜40年間といわれています。

子宮の入り口はストローの穴ほどの小さな穴で、この穴を血液が通過するためにはある程度の日数がかかってしまいます。4日〜7日続く生理期間のうち、月経量が一番多い日と言われているのが2日目と3日目で、その後どんどん減っていきます。

女性はホルモンの変化と共に様々な症状が経験します。

月経期には黄体ホルモン・卵胞ホルモンの分泌が減少していきます。この期間に子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外へ排出されていきます。月経期に女性は下腹部通、腰痛、吐き気、イライラ、むくみやだるさなどの症状を経験します。

この月経期の後、卵胞期に入り卵胞ホルモンが分泌され、子宮内膜が少しずつ厚くなっていきます。この時期に卵胞ホルモンの分泌が増えるため、髪にツヤがでてき、思考もポジティブになります。ダイエットにも向いている時期でもあります。

排卵期に入り卵胞ホルモンの分泌がピークとなると黄体ホルモンが分泌され、卵胞より卵子が排卵されます。

この後に分泌期がおとずれ、子宮内が柔らかくなって受精卵が着床しやすくなり、妊娠するための準備が整っていきます。

毎月繰り返されるこの4期のサイクルによってホルモンバランスが乱れると、様々な症状を引き起こされます。

低用量ピルは避妊以外にも、生理周期の安定化生理痛の緩和生理時の過多月経、月経前症候群などの治療を目的とした利用も多くみられます。

アメリカでは約1200万人の女性が利用しているとされ、生理に問題がある若年層から、幅広い年齢に利用されています。

以前であれば、生理痛の辛い症状を緩和させるために鎮痛剤を持ち歩く女性も多々みられましたが、近年では低用量ピルを使用し、生理が要因となって起こる辛い症状を緩和させることが可能となりました。

 

1)低用量ピルの働き

低用量ピルを服用することにより、様々な要素が重なり合い避妊効果をもたらします。

a.排卵の抑制

低用量ピルの服用によってエストロゲンの血中濃度が上昇します。これによって脳が「体内には十分にホルモンが整っている」と勘違いするようになり、脳内の排卵中枢に排卵の制圧させます。同じく視床下部では下垂体を刺激する物質の分泌を抑え、下垂体からのホルモンの分泌を抑制し排卵を制圧させます。

 

b.頚管粘液の役割を変化させる

通常、頚管粘液は細菌や感染から子宮を守る役割をしています。低容量ピルを服用することで粘液量を低下させ、粘着性の性質に変化することにより精子が子宮内へ侵入することを阻止する役割をすることになります。

 

c.卵管の機能

低用量ピルの服用で子宮や卵管の運搬機能を鈍らせます。これにより精子や卵子が運ばれにくくなり、受精しにくい状態を作ることができます。

 

d.受精卵着床の阻止

子宮内でのグリコーゲンの生産を減少させ受精卵の生命力を弱くし、子宮内膜を薄くすることで子宮内膜を着床に適さない環境にしていきます。

 

2)月経トラブルの防止

生理が引き起こす、女性特有の辛い症状を緩和させてくれます。

a.月経周期

低用量ピルで消退出血を規則的に起こすことができます。これにより月経周期が正常化され生理不順が改善されます。

b.月経前症候群の軽減

低用量ピルを服用することで辛い月経前のイライラが軽減され、生理痛なども軽くなります。

c.過多月経の改善

低用量ピルで子宮内膜が薄くなることにより月経による出血が減少します。

d.子宮筋腫の縮小

研究によると低用量ピルの服用により子宮筋腫が縮小する傾向にあるという報告が認められています。

e.大人ニキビの改善

低用量ピルは男性ホルモンを制圧する役割があり、ニキビ多毛症の治療に使用されることもあります。

f.卵巣癌の予防

定期的な排卵で卵巣上皮は破損と修復を繰り返し、修復される際に悪性化を促してしまうといわれています。低用量ピルを服用することにより排卵が制圧されるため、修復頻度が半減し卵巣癌の発生率の低下が期待できます。

g.骨盤内感染症の予防

頚管粘液の変化により精子や細菌などの侵入を制圧することで、骨盤内感染症の予防効果にも繋がります。

 

3)低用量ピルの利点

  •  望まない妊娠の予防
  •  性行為時の煩わしさがない
  •  妊娠の計画や、旅行の計画が立てやすい
  •  他の辛い症状の緩和

3. 緊急避妊ピル

緊急避妊ピルは、事後避妊ピルまたはモーニングアフターピルとも呼ばれています。避妊がうまくできなかった、または避妊措置ができなかった性行為後に緊急用に服用する避妊薬です。緊急避妊ピルにはヤッペ法とノルレボ法(レボノルゲストレス)の2タイプがあります。ヤッペ法は日本でも1970年より医師の診断の元でのみ処方されていました。2011年にはノルレボ法が導入されるようになりました。

1)ヤッペ法

ヤッペ法は中用量ピルのプラノバールという錠剤を使用し避妊を行う方法です。プラノバールはもともと月経困難症子宮内膜症の治療に利用されていた治療薬で。卵胞ホルモンと黄体ホルモンが一緒に配合されています。

ホルモンを一気に上昇させ、その後下降させることにより子宮内膜を剥がしていきます。

性行為後72時間に最初の1錠、その後12時間再度同じ量を服用します。吐き気や、嘔吐などの副作用が出てしまう場合があります。

 

2)ノルレボ法

ノルレボ法は緊急避妊用に開発された治療薬です。世界保険機構のエッセンシャルドラッグに承認されており、世界約50カ国で使用されています。黄体ホルモンのみで作られており、排卵を制圧し、子宮内膜の増殖を防ぎ、受精した場合でも定着しにくくする働きがあります。

性行為後72時間以内に1錠を服用します。72時間を過ぎてしまった場合でも120時間以内であれば避妊できる可能性は多少でもあるとされています。性行為後24時間の服用をした場合の避妊率はグンと上昇し、12時間以内であれば99%の避妊率があるとされています。

副作用はヤッペ法より少ないとされています。

どちらの緊急避妊ピルも性行為後に早く服用すればするほど、避妊率は上がります。

 

3)もしも服用して吐いてしまったら?

服用してから2時間以上経過している場合は、体内で薬の成分が吸収されている可能性が高く、2時間以内に吐いてしまった場合は、同様のピルを再度服用する必要があります。それでもまた吐いてしまうようであれば、服用を中止し薬を持参した上、速やかに受診しましょう。

 

4)緊急避妊ピル服用後の生理

  •  ピルの内服後、早ければ3日〜4日で消退出血がきます。しかし、消退出血は月経予定日までない場合もあり、次の生理が妊娠初期出血である場合もあります。
  •  緊急避妊ピルを服用したからといって安心せず、早期妊娠検査薬などで早めに調べておいて安心しましょう。
  •  次の生理まではコンドームなどを使用し、避妊する必要があります。
  •  緊急避妊後の生理が1週間遅れるようであれば、受診して相談しましょう。

まとめ

受診後に処方される緊急避妊薬はノルレボ錠で平均14000円〜15000円、ヤッペ法で平均4000円〜5000円とされています。

緊急避妊薬は避妊ができなかった場合に緊急で服用する治療薬となります。体の負担も低容量ピルと比べると大きくかかってきます。

日頃から避妊を心がけるのであれば、低用量ピルの服用が勧められています。

これらのピルは日本国内では医師からの処方でのみ受け取ることができ、ドラッグストアなどで購入することはできません。